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遺言と遺言書作成

 弁護士の奥田竜子と申します。今回は遺言についてお話ししたいと思います。

皆さんは遺言はどんなときに必要だというふうに思っておられますか。一般的には財産がすごくあって土地や預貯金、それから株なんかも山盛りある人が遺言を活用してトラブルを避ける、というふうなイメージをお持ちの方が多いのかなというふうに思いますが、実際はそういうことではないのかなと経験上思います。遺言はやっぱり死後のトラブルを最小限にするという意味では、財産の多い少ないにかかわらず、すべての人に当てはまるのかなと考えています。

加えて財産をどのように分けるのか。遺言がない場合には法定相続分、あるいは法定相続人といって一定の人に対して、それぞれ民法上決められた割合で、相続をされるというふうに決まっています。だからこういうことを避けたい。法定相続分とは違うように相続をさせたい場合であるとか、法律上に従っていると、トラブルが避けられないんだというような家族構成の場合には、遺言がとても役に立つのかなと思います。

例えば夫婦のほか、子どもさんがいない場合です。そういう場合、法定相続人は誰なのかというと、一方の配偶者、それからご自身のお父さん、お母さん。あるいはお父さん、お母さんがもうご存命でなければ、兄弟、姉妹にまでいきます。ということは、奥さまとそれからご自分のお父さん、お母さんとの間で遺産分割協議をやんなきゃいけなかったりであるとか、あるいはそれを超えてあなたのご兄弟。亡くなった、遺言を書いた本人のご兄弟と奥さんが話し合いをして、遺産分割協議をしないといけないというような状況になるわけです。協議が整わない場合には銀行はなかなか預貯金を下ろさせてくれないでしょう。そのためには親族付き合いのない遠方に住んでいる親族から、印鑑証明とか実印とかをもらわなきゃ何もできないというような事態に陥ることもあるわけです。

残された配偶者が速やかに今の生活を引き続き維持していけるように、遺言を書いておくということはとても重要になるんだと思います。

あるいは法定相続人以外に財産を分けたい場合であるとか。それから実は先妻に子どもがいて、今もずうっと小さいときに別れてしまったからどこに住んでいるのか、生きているのか、あるいはどこで何をしているのか、もう全く分からない。それだけではない、自分の存在すらその子どもは知らないかもしれないというような場合であっても、今の配偶者との間の子どもさんたちと、その以前の先妻の子どもさんというのは同列の法定相続人であるわけですから、その人を捜し出して、実はあなたにはお父さんがいて、そしてその人が実は今度亡くなって、その人には今これだけの財産があって、それを分けなきゃいけないからサインをください。あるいは実印をください。話し合いをしましょうと、いうところからスタートするという必要性が出てくることだってあるわけです。

またさらに言うと、遺言がなければ基本的には法定相続人全員の署名捺印。実印、印鑑証明等がいるんですけれども、生きているか死んでいるかも分からない、どこにいるかも分からない。そういう人がいる場合には速やかに話し合いをして、金融機関あるいは自宅の不動産の名義を書き換えるとかいうこともできないわけです。そういう煩わしさであるとか、そういう手間のかかる、時間のかかる、要は争いがないところにも争いを起こしてしまう可能性だってあるのかなと思いますから、公正証書遺言、遺言を書くことでそれらのトラブルを未然に、最低限に防ぐということができるのかなと思います。

 

 どういう場合に遺言があるといいのかというのは、いろいろな事情やいろいろな家族構成、それから今の生活状況、健康状態、残された家族がどういう暮らしをしているのか、どういう親せき付き合いをしているのか、仲がいいのか悪いのか。そういうことが全部絡んでくるかなと思います。そこら辺りをしっかり、自分の今まで生きてきた道であるとか、今の状況であるとかを弁護士にしっかり話をし、最低限トラブルが起こらないためには、あるいは自分の築いていた財産を誰に託したいのか、それがスムーズに渡るようにするにはどうすればいいのか。そこをしっかりと整理をされて弁護士に相談し、公正証書遺言を作っておかれるといいのかなと思います。