Q.家業を手伝ってきた娘婿に土地を譲ることを遺言しようと思っています。登記などの手続きをどのようにすればよいのでしょうか?
A.子の配偶者である娘婿は相続人ではありませんが、娘婿に対しても不動産などを遺言で贈与すること(遺贈)ができます。不動産を相続人以外の人に遺贈する場合、登記手続には登記識別情報と相続人全員の印鑑証明書・戸籍謄本が必要となりますし、登記手続は一般の方にはわかりにくいものです。
このような場合、弁護士など専門知識があり信頼できる人を「遺言執行者」として遺言で指定しておけば、相続人全員の印鑑証明書・戸籍謄本は必要なく、「遺言執行者」が登記などの手続きを確実に執行することが期待できます。
相続人も「遺言執行者」になることができますが、相続人間で争いがあると遺言の執行が確実に行われない場合がありますから、複雑な手続きが必要ない場合も、「遺言執行者」を指定しておけば紛争を予防することができます。
1 遺言の執行
遺言の執行とは、遺言の内容を実現するための手続きをいい、不動産の登記手続・預金の解約・株式の名義変更などの手続きがあります。
例えば、子の配偶者である娘婿は相続人ではありませんが、娘婿に対しても不動産などを遺言で贈与すること(遺贈)ができます。
土地を遺贈する場合の登記手続は、登記識別情報(登記名義人となる際に通知された12桁の符号)と相続人全員の印鑑証明書・戸籍謄本等が必要とされ、一般の方にとってわかりにくいものです。
2 「遺言執行者」の権限
遺言の内容を実現する人を「遺言執行者」といいます。
遺言の執行は、相続人でも行うことができますが、相続人の「廃除」など相続人の間で利益が対立するおそれがあるため「遺言執行者」を選任しなければならない場合があります。「遺言執行者」は遺言で指定することもできますし、必要な場合は、利害関係者が家庭裁判所に選任を請求したりすることができます。
「遺言執行者」の職務としては、相続財産の目録を作成して相続人に交付することのほか、遺産である不動産に不法占拠者がいれば退去を求めるなど相続財産の管理などがあります。
「遺言執行者」には、遺言の執行に必要な一切の行為について権限があります。相続人は「遺言執行者」の職務を妨害したり、相続財産の処分などをしたりすることができず、仮に相続財産の処分をしても無効とされます。
また「遺言執行者」がいれば、不動産を遺贈する場合、相続人全員の印鑑証明書・戸籍謄本は必要なく、「遺言執行者」が単独で行うことができます。
3 「遺言執行者」による相続のトラブル防止
「遺言執行者」は、未成年者・破産者でなければよく、相続人もなることができます。しかし、相続人間に争いがあると遺言の執行が確実に行われない場合がありえます。したがって、弁護士など専門知識があり信頼できる人を「遺言執行者」として遺言で指定しておけば、登記などの手続きを確実に執行することが期待できますし、「遺言執行者」が相続人と話合うことで相続についての紛争を予防することができます。
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