Q.私たち2人兄弟には母しかいません。母は、5年前に住宅の購入資金として500万円を長男に贈与していたのですが、先日、「すべての財産を長男に相続させる」という遺言を残して亡くなりました。二男の私の「遺留分」を算定するとき、贈与された500万円は考慮されるのでしょうか?
A.亡くなった人(被相続人)の意思によっても奪うことができない相続財産の取り分を「遺留分」といいます。
「遺留分」は相続人間の公平を図るものですから、「遺留分」算定の基礎となる財産には、特段の事情のない限り、相続人への生計の資本としての贈与も含まれます。
ですので、本件でも、原則として、生前にお兄さんに住宅の購入資金として贈与された500万円は、あなたの遺留分を算定するときに考慮されるでしょう。
仮に、亡くなられたお母様の相続財産が1500万円である場合、「遺留分」算定の基礎となる相続財産は、お兄さんに生前贈与された500万円を加えた2000万円と考えることができます。
しかし、贈与が行われた5年前には財産がたくさんあったのに、死亡時には相続財産がなくなっていたという場合のように、遺留分を認めると、生前、贈与を受けた人に酷となるような特段の事情があれば「遺留分」が認められないことがあります。
「遺留分」算定の基礎となる財産に含まれる贈与かどうかは、贈与を受けた人が相続人かどうかによっても変わりますし、贈与が行われた状況等によって変わってきます。
こうした判断には法的知識が必要となりますので、ご自身で判断せず、相続の専門家である弁護士にご相談ください。
1 「遺留分」算定の基礎となる贈与
「遺留分」とは、亡くなった人(被相続人)の意思によっても奪うことができない相続財産の取り分をいいます。
法律で定められた「遺留分」算定の基礎となる贈与として、次のものがあります。これらは、相続財産を減少させ、「遺留分」を侵害すると考えられるからです。
(1)被相続人が亡くなる前1年以内に行われた贈与
(2)被相続人と贈与を受けた人(受贈者)双方が遺留分の権利がある人(遺留分権利者)に損害を加えることを知って行われた贈与
例えば、お母さんが亡くなる5年前に親友(相続人でない人)に500万円を贈与していた場合、お母さんも親友の方も子らに損害を与えることを認識していなければ、「遺留分」算定の基礎となる財産に含まれません。
2 相続人に対する贈与
「遺留分」は、相続人間の公平を図るものですから、「遺留分」算定の基礎となる財産には、特段の事情のない限り、相続人への生計の資本としての贈与も含みます。
本件の場合、お母さんが亡くなる5年前に住宅の購入資金として長男に500万円を贈与していたということですから、たとえば、亡くなられた時点のお母様の財産が1500万円であれば(相続財産といいます)、「遺留分」算定の基礎となる財産は2000万円(1500万円+500万円)と考えることができます。
「遺留分」の割合は、法定相続分の1/2ですから、二男であるあなたの遺留分は、法定相続分1/2(相続人が子ども2人の場合)のさらに1/2、つまり1/4、2000万円の1/4の500万円となります。
遺留分(1500万円+500万円)×1/2(法定相続分の割合)×1/2(遺留分の割合)=500万円
しかし、贈与が行われた5年前には財産がたくさんあったのに、相続財産がなくなっていたよう場合のように、、遺留分を認めると、贈与を受けた人に酷となる特段の事情があれば「遺留分」は認められないことがあります。
3 「遺留分」算定の基礎となる贈与
「遺留分」算定の基礎となる財産に含まれる贈与かどうかは、贈与を受けた人が相続人かどうかによっても変わりますし、贈与が行われた状況によって変わってきます。
こうした判断には法的知識が必要となりますので、ご自身で判断せず、相続の専門家である当事務所にお気軽にご相談ください。
※こちらもご覧ください(特別受益についてのページ)