Q.商店を妻と経営してきましたが、子はいません。私の両親は他界しており、私の弟2人は商店を手伝ったことはありません。妻だけに商店などの財産をのこすには、どうすればよいのでしょうか?
A.「遺言」により、配偶者だけに財産を遺すことが可能となります。
「配偶者」のある方が亡くなり、その方に「子」がなく、父母・祖父母など「直系尊属」もいないとき、法律上、「配偶者」だけではなく、亡くなった方の「兄弟姉妹」も相続人となります。
例えば、「妻」のある男性に、子がなく、ご両親も既に他界されており、弟さんが2人いる場合、法律上、「妻」が3/4、残りの1/4を2人の弟さんが1/8ずつ相続することになります。
このような場合に、妻だけに財産を相続させるためには、遺言をのこす必要があります。
1 「兄弟姉妹」が法定相続人になる場合とは
亡くなった方の財産が一定の範囲の人に引き継がれることを「相続」といい、「相続」を受けることのできる人を「相続人」といいます。「相続人」の範囲は、法律で決まっています。
まず、亡くなった方の「配偶者」は常に「相続人」となります。
亡くなった方に「子」があれば「子」が、「子」がなければ親などの「直系尊属」が相続人になります。
亡くなった方に「子」も「直系尊属」もないときに、「兄弟姉妹」が相続人となります。
「親族についての用語」については、こちらをご覧ください。
http://www.okuda-souzoku.com/相続のしくみ/親族についての用語/
2 配偶者がいる場合の「兄弟姉妹」の相続分
亡くなった方に「子」がなく、親などの「直系尊属」も既に他界し、「配偶者」と「兄弟姉妹」がいる場合、「配偶者」と「兄弟姉妹」が「相続人」となりますが、この場合の相続分は、法律では、「配偶者」が3/4、「兄弟姉妹」で1/4となっています。
したがって、このように「配偶者」のみならず「兄弟姉妹」も相続人となる場合、妻だけに財産をのこすためには「遺言」をしておく必要があります。
3 遺留分への配慮は不要
法定相続分の2分の1を超える財産を侵害するような遺言がある場合、「遺留分」が問題になることがありますが、法律上、「兄弟姉妹」には遺留分はありませんので、本件のような場合は、遺言書を書くだけで、遺留分への配慮をする必要はありません。
とはいえ、相続問題は非常にデリケートです。トラブルが生じるおそれのあるなしにかかわらず、遺言をお考えの場合には、お早めに当法律事務所の弁護士による法律相談をご利用ください。