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同時死亡の場合の相続(1)

相続について考えるとき、交通事故や災害などで複数の親族が同時に死亡してしまった場合の相続関係はどうなるのか、という問題があります。

 

 まず、次のようなケースを想定してみてください。

 Aさんには、夫(B)と、子が一人(C)いました。夫(B)の両親(D及びE)は健在しています。そんなある日、交通事故によって夫(B)と子(C)が死亡してしまいました。即死であったために2人のどちらが先に死亡したかはわかりませんでした。夫(B)には、貯蓄など3000万円の遺産がありました。他方、子(C)はまだ幼く、財産はありませんでした。

 

 どちらが先に死亡した不明ではありますが、Bが先に死亡した前提で相続を考えると(このとき、Cがまだ生きているときにBの相続が生じたことになります)、妻であるAが法定相続分(2分の1)に従い、1500万円を相続し、子Cも法定相続分(2分の1)に従い、1500万円を相続します。

 その後、Cが死亡してCの遺産(Bから相続した分)1500万円は、母親であるAが相続します。

 結果として、3000万円はすべてAが相続することになり、Bの両親(DとE)は相続を受けることはできません。

 

 逆に、Cが先に死亡した前提で相続を考えると、(このとき、Bがまだ生きているときにCの相続が生じたことになります)、母であるAと父であるBが法定相続分(2分の1ずつ)に従い相続することになりますが、Cに財産はないため、財産の移動はありません。

 その後、Bが死亡してBの遺産3000万円の相続が生じることになりますが、すでに子Cは死亡していますので、妻であるAが法定相続分(3分の2)に従い、2000万円を相続するとともに、Bの両親(DとE)が残りの3分の1=1000万円を相続します。DE間ではDが500万円、Eが500万円を相続します。

 つまり、先ほどとは異なり、Aは3000万円全てを相続することができず、Bの両親(DとE)は500万円ずつ相続することができます。

 

*法定相続分について詳しくは、こちらのページをご参照ください。

https://www.okuda-souzoku.com/相続のしくみ/法定相続人と相続割合/

 

 このように、どちらが先に死亡したかで相続のできる財産の範囲が変わるとすると、相続紛争につながってしまいます。これを避けるためにはどうすればよいでしょうか…。次回、ご説明したいと思います。
同時死亡の場合の相続(2)

 

最終更新日:2018/07/22

 

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著者プロフィール

弁護士 田代隼一郎

九州大学法学部卒

大阪大学大学院高等司法研究科修了

平成24年弁護士登録

福岡県弁護士会所属

弁護士 田代 隼一郎 プロフィール詳細