例えばこういう事例です。
お父さん A とお母さん B がいてお子さん C ・ D がいるという時です。
こういう時にたまにあるのが、遺言をするのにお父さんお母さんが連名で遺言しちゃう、遺言書を作ってしまう。こうした例がたまにあります。
しかし、実はこの遺言は ”無効” ということになっています。
第975条
遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。
民法の975条という条文がありまして、これには『遺言は二人以上のものが同一の証書ですることができない』ということが書いてあります。
なので、例えばこういった事例のときにたまにあるのが、お父さん A・お母さんBとして、お父さんAが死んだら、財産は B に相続させる、 B が死んだ時には全財産はCに相続させる、といったようなことをAとB の連名(お父さんとお母さんの連名)で書いて、要するにちゃんと父母のこの気持ちを尊重して、私たちが死んだ後は兄弟仲良く暮らしなさいといったような付言なんかが付いて、それでもって自筆の証書で A と B の連名で遺言してある、というケースがありますけれども、これは先ほどの975条『遺言は二人以上のものが同一の証書ですることができない』という規定に抵触しますので、この遺言は無効だということになります。
ですので、そういった場合は、それぞれAの遺言、Bの遺言ということで、別々の証書で遺言を残しておくことにすれば、何も問題ないということになります。
ちなみに、なぜこういう【975条・共同遺言の禁止】ということがされているかというと、遺言については個人の自由意思でされるべきだと、二人で共同でしてしまうと、例えばお父さんの意思がお母さんにそのまま反映して(影響を及ぼして)、お母さんの自由な気持ちを遺言に表すことができないんじゃないかと、まあこういったような趣旨で、共同でしてはいけないということになっています。
ですので遺言する時には「共同遺言の禁止」ということがあるということをちょっと頭においていただければと思います。
以上です 。
最終更新日:2019年12月11日
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筆者プロフィール
弁護士 奥田 貫介
おくだ総合法律事務所 所長
司法修習50期 福岡県弁護士会所属
福岡県立修猷館高校卒
京都大学法学部卒
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