福岡の弁護士による 相続・遺言・遺産分割相談【おくだ総合法律事務所】福岡県福岡市中央区大名2-4-19-601 ご予約0120-976-481

共同遺言の禁止

こんにちは弁護士の奥田です。

今日は『共同遺言の禁止』。”遺言”は「ゆいごん」とも読むんですけれども、法律家は「いごん」という読み方をします。

この『共同遺言の禁止(民法975条)』について話をしたいと思います。

 

どういう事例かというと、高齢のご夫婦がおられて、ご主人が山田太郎さん。ご主人はどう考えているかというと、ご主人は財産をお持ちなので、自分が死んだら妻に、そののち、妻が死んだら子どもに相続させたいと考えている。

奥様もご主人の考えに賛成。そのようにしてほしいと考えていたとします。

 

そういう場合に、このような遺言を2人で残すことがあります。仲の良いご夫婦に時々見られる話なんですけれども、こういう遺言です。

 

『山田太郎は、全財産を、妻山田花子に相続させる。

その後、山田花子は、全財産を、長男山田一郎に相続させる。』

 

ご主人が亡くなって奥様が全財産の相続を受けた後に、奥さんが亡くなったら子どもに全財産を相続させる。

生前のお2人の意向通りの遺言だし、2人で遺言して晩年まで非常に仲の良いご夫婦ということで何も問題がないように思えます。

 

しかし、こういう形で一つの証書に2人連名で遺言すると、これは結論から言うとダメ、無効ということになります。

なぜかというと、民法の975条に「共同遺言の禁止」ということで、「遺言は2人以上の者が同一の証書ですることができない」と書いてあります。

 

なぜこんな規定があるかというと、遺言というのはそれぞれの遺言する者が自分の意思で自分の心からの真意で書かないといけないから、2人で一緒に遺言するとそれぞれが影響を受けて、真意でない遺言が書かれる可能性がある、といったような趣旨からこのような規定があると理解しています。

 

そうすると2人で一緒に書いた遺言というのは、2人以上の者が同一の証書ですることができないということで、そのことだけで無効ということになってしまうわけです。

 

ですので、2人で一緒に遺言すると無効なんだ、ということをぜひ知っていただいて、もしそういう遺言を書かれているようであれば 、お2人が元気だったらそれぞれ別々に書けば基本的にはいい話ですので、2人でそれぞれ遺言を別々の紙に書くということをしていただければと思います。

 

遺言というのは結構このように、形式的要件などが厳格に決まっていて、思わぬ落とし穴にはまることがあります。今の事例でも、仲の良いご夫婦がせっかく2人で一緒に書いたものが、この規定によって無効になったりすることがありますので、ぜひ遺言を書く場合には弁護士などの専門家に一度相談をされて、その上で書いていただければなと思います。

今日の話は以上です。

 

筆者プロフィール

弁護士 奥田 貫介 

おくだ総合法律事務所 所長 

司法修習50期 福岡県弁護士会所属 

福岡県立修猷館高校卒 

京都大学法学部卒 

ご予約専用フリーダイアル

0120-976-481

平日 AM  8:30 - PM 6:00

土曜 AM10:00 - PM 3:00

TEL:092-739-6262

FAX:092-739-6260

おくだ総合法律事務所
福岡市中央区大名
2-4-19

福岡赤坂ビル601
MAP