福岡の弁護士による 相続・遺言・遺産分割相談【おくだ総合法律事務所】福岡県福岡市中央区大名2-4-19-601 ご予約0120-976-481

遺産の相続と専門家の関わり

こんにちは弁護士の田代です。 今回の動画は遺産の相続と専門家の関わりについて解説いたします。具体的には①相続の手続きはどのようなものか。②専門家をどのように活用するのか。この2点について解説いたします。今回の動画は相続に慣れてない方向けに解説しております。例えば終活という言葉で最近言われていますけれども、ご自身の死後の遺産について考えてらっしゃる方や、あるいは身近な方がお亡くなりになってしまって相続をどうしたらいいんだろう、そういう悩みを持たれてる方はぜひこの動画を見ていただければイメージできると思いますのでご覧ください。 

 

まず今回の相続の場面には専門家は実にたくさん関与します。今回の動画でも6名の専門家が出てきますので、この辺りについても専門家を活用できる方とそうじゃない方では大きな違いが出てきますのでその辺りをしっかりご覧ください。

 

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まず、相続の手続きについてざっと見ていきますと、亡くなる前のに遺言書、これを作ってるか作っていないかというのがひとつの分かれ目になります。この遺言書の作成については弁護士やあるいは公証人、こういった専門家が出てきます。

 

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 さらに遺言書を作った方が亡くなった後、この遺言書の検認という手続き、あるいは遺言書の執行という手続きがございます。早速難しい言葉が出てきましたが後で解説いたします。この手続きは弁護士が主に関与します。

 

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さらに遺言書がある場合、あるいは無い場合、いずれの場合でも遺産分割協議を行う必要がございます。これには弁護士が関与します。この協議が相続の手続きの中での一番のメイン、大変なところかなと思います。

 

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さらに不動産の評価。不動産をいくらと考えるのか、こういった点も必要になってきますが、これは不動産鑑定士の方にご意見を伺います。

 

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さらに不動産を測量するという必要も出てくることもございます。

この場合には土地家屋調査士。

 

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また、不動産の登記。移転の登記の場合には、司法書士の方にお願いをしてます。

 

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さらに遺産相続が終わった後やあるいはその途中などでも相続税などについて確定申告をする必要が出てくることがございます。これについては税理士の先生に相談したり、あるいは依頼したりする必要がございます。

 

このように相続の手続きの中には多数の専門家が出てきますので、まずこれらについて手続きの内容と専門家との関わり方、この2点を1番から7番まで順番に解説いたします。

 

 

 

1 遺言書の作成

遺言書の種類

遺言書の作成ですね。 

まず遺言書の種類。どういったものがあるかと言いますと、自筆証書遺言、公正証書遺言、あと秘密証書遺言という3種類がございます。この三番目の秘密証書遺言というのはほとんど実際には作られていませんので、自筆証書遺言と公正証書遺言の1番と2番、主にこの二つについて頭に入れていただければ大丈夫です。違いとしては公正証書遺言は公証役場で公証人に手続きに入っていていただきます。最終的に交渉人に作っていただくというのが公正証書遺言です。

自筆証書遺言は自分で遺言を作るという違いです。

実は自筆証書遺言はあまりお勧めしません。かなり形式面が厳密に決められていて、例えば印鑑漏れがあったりとかそれだけでもう遺言が全部パーになってしまうんですよね。それもご自身が亡くなった後に初めてこの不備が分かるので、せっかく残したものが台無しになってしまって、場合によっては相続人間のトラブルになってしまうという危険もございますので、僕は公正証書遺言ができるのであればこちらの方の作成、つまり公証人に関わってもらう、その活用をお勧めします。

 

公正証書遺言のメリット

この点も含めて、公正証書遺言のメリットとしてまず一番目、無効になりにくい。これは先ほど申し上げたパーになってしまうというリスクをほとんどゼロに近づけることができます。

 

さらに、遺言書を失くしてしまう。自分で作ってるものであればどこかに行ってしまった、あるいは誰かが捨ててしまったとか、そういったことがあった時にはもう無いものとして扱われますが、公正証書遺言の場合は公証役場に行けば、その記録は残されていますで、内容も確認して再発行というかまた貰うことができます。それはご自身が亡くなった後に、相続人の方などが直接行って受け取ることもできますので紛失の心配はございません。

 

さらに検認。後で出てきますが、検認という手続きも不要になるといったメリットがございます。

 

このような中で公証人という言葉を使ってます。どういった方かと言いますと、公証事務を担う公務員というところで、少なくとも金額面とかあるいは手続きとかそういったものは日本全国で共通しておりますので、まず利用しやすいという点と、公務員という点ですね。この方、実は多くは、例えば裁判官がキャリアを積んだ後に定年などで退職された後に公証人として働いたりとか、そういった方が多くて、非常に法律事務について詳しいんですよね。なので私から見ても先生という立場の方が関与されるということで、手続き上無効になりにくい、問題点についても見て気づいて教えてくれるので、そういった点は非常に安心できるものです。

 

2 遺言書の検認・執行

遺言書の検認・執行、これについて見ていきます。

①遺言書の検認

まず遺言書の検認という手続き。これが何かと言いますと、相続人に遺言書の存在を知らせて、つまり遺言書が残っていましたということを知らせて、その内容を確認させる。つまり確認してもらう機会を与えるとそういった手続きです。これは基本的に裁判所の方に手続きをする必要がございまして、裁判所から相続人に対して遺言書がありますということが知らされて、この日に確認しますので来れる方は来てくださいと、絶対来る必要はございませんけれども、そういう機会を与えると。なので内容がたとえば偽造されたりとかそういうことがないようにという意味です。この検認の手続き、これは結局公証人が関与してれば、内容が偽造されるとかそういった心配がございません。裁判所と同じく公務員ですから。なので公正証書遺言の場合にはこの検認の手続きは必要なくなると、そういった点が先ほどのメリットのひとつでした。

 

②遺言の執行

遺言の執行。これは何なのかと言いますと、遺言の内容を実現する手続き。一般的には誰かがお亡くなりになって遺言書が出てきたと、そしたらまず検認の手続きをする。検認の後に遺言の内容の確認をして、その内容がどういうことが書かれてるのかと、それに従ってその内容を実現していくと、これが次の執行ですよね。

 

内容を実現するって具体的にどういうことかといいますと、まず遺産にはどんなものがあるのかっていうのを把握、あるいは相続人は誰かという点の把握から始まりまして、その遺産の目録を作っていくと、目録というのは一覧表のようなものですね。その全体の遺産を遺言の内容にしたがって、例えば不動産の土地建物の自宅については子供の誰誰に与えて、預貯金について半分は奥さんに与えて、とか、残りはその子供たちでどうのこうの~という遺言であったら、その通りに従って分配する。預貯金については当然金融機関から解約をするという手続きが必要になりますし、例えば不動産土地建物については譲り受ける人に引き渡したりとか、あるいは登記の名義の変更もする必要がございます。こういったのが遺言の執行の大まかな内容です。

 

ちなみにこの遺言を執行する人のことを遺言執行者という言い方をしまして、これも遺言書に弁護士などが関与している場合には、この遺言を執行するのもやっぱり専門的な知識があるとないとではスピード感も異なりますし安心感も異なりますので、弁護士に遺言執行者になってもらうというケースが非常に多くあります。そこでこの手続きも主に弁護士が関与するということになります。

 

3 遺産分割協議

交渉・調停・審判

遺産分割協議。いよいよこれが本丸。一番大事な手続きになります。まず遺産分割協議を種類で分けますと、①交渉=話し合いでの協議。次に②調停=裁判所を利用した手続きという協議。裁判所を通じての協議でも整わない時には③審判。これは裁判官が遺産分割の内容を、これはこの人、これはこの人、あるいは、〇円・△円・▢円とかそういう風に決めてしまう、と。これは強制力がございます。

この三つの種類がございます。

イメージとしては交渉をしてみて合意ができれば協議書を作成するんですが、それが出来ない時に次に調停を申立てようと。調停で裁判所で話し合いを行うと、それで合意できればいいんですけどもできない時に審判で裁判官に決めてもらう。この①②③は手続きの流れにもなりますので頭においてください。

 

遺産分割協議の内容

次に遺産分割協議の内容ですね。どういう協議をするのかといいますと、これは先ほどの遺言の執行と似た話なんですが、まず遺産の全体像を相続人同士で共有をしていく。どういう遺産があるのか、一人の相続人が全部を把握しているわけでは必ずしもございませんので皆で確認する必要がございます。

 

さらに遺産の中には自宅の土地建物などの不動産がございますが、これはじゃあいくらという風に考えればいいのかという点も協議して話し合って決めて行く必要がございます。さらにこういった財産の全体像や金額が出てきた時には、じゃあどういった形で分割するのか、その中で例えばこの人は生前に亡くなった方からお金を受け取っていたので少なくていいんじゃないかとか、あるいはこの人は亡くなった方を献身的に面倒をみていたのでなのでより多くもらっていいんじゃないか、そういった話も含まれます。

 

分割の割合が決まったとして、分割の方法ですね。預貯金とか現金だけであれば単純に分ければいい。ただ例えば不動産をどうするか、大きな土地があった時には現物で分割する。たとえば三等分に分けて、これは分筆って言うんですけれども、土地を分けてそれぞれの相続人で持つのか、あるいは分けてしまうと価値が減ってしまう、あるいはそんなに大きな土地はない時とかは誰か一人が取得して、その代わりにその人からは代償としてお金をもらうと、そういう代償分割。あるいはもうそれを誰かに不動産屋さんとかを介して売ってしまってお金を分配しましょうという換価分割。こういった分割の方法についても協議する必要がございます。

 

ここで4.5.6という形で先ほどの専門家がこの協議内容の中で関わってきます。

4 不動産の評価

不動産の価値を考える時には不動産鑑定士という専門家に、例えば鑑定書を作ってもらったりとかであるとか、相談して意見を聞いたりすることが出来ます。

5 不動産の測量

あるいは分割ですね、つまり例えば土地を3等分する時には測量が必要になりますので、土地家屋調査士の方にお願いします。あるいはどこかに売るにしても、隣地との境界を確定する必要がございますので、こういった点ができていない不動産については、やはり土地家屋調査士の先生にお願いして動いて頂く必要がございます。 

6 不動産の登記

遺産分割協議が全部無事終わった時、不動産の分割方法に従って今度登記を移転する必要が、亡くなった方から相続人に移したりとか、あるいは誰かに売った時には売却先に登記の変更手続きも必要になってきますので、その際には司法書士の先生にお願いすることになります。

7 相続税等の確定申告

また相続が全部終わった段階で税金の処理も必要になって、確定申告も必要になってきますので、これについては税理士の先生にお願いする。また遡りますが、分割方法とか割合とかを考える上で税金はどうなるのかも必ず必要になってきますので、税理士の先生には全部終わってから初めて相談するんじゃなくて、途中で遺産分割で決めてしまう前の段階から意見を聞いておくことが非常に重要になってきます。

 

以上、今回の動画では遺産の相続と専門家の関わりについて解説いたしました。こういった多数の専門家が関わってきますけれども、例えばその弁護士などに当初の段階からご相談いただければ、他の専門家の方に取り次ぐこと、つまり仕事上こういった形でいろんな専門家の方と連携を取りながら普段から仕事をしておりますので、そういった方とのコネクションを作ることももちろん可能です。そういった点でぜひ1度弁護士に、あるいは他の専門家を通じてでも是非ご相談いただければと思います。

 

著者プロフィール

弁護士 田代隼一郎

九州大学法学部卒

大阪大学大学院高等司法研究科修了

平成24年弁護士登録

福岡県弁護士会所属

弁護士 田代 隼一郎 プロフィール詳細