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字を書くのが難しい人の遺言【動画で解説】

こんにちは、弁護士の奥田です。

 

今日は、字を書くのが難しい方が遺言をする場合の遺言の方法について説明をしたいと思います。

 

遺言というのは、法律上、書面に残す必要がどうしてもあるわけですね。それも、きちんと法律に従った方式で作られた書面、これでないと遺言として効力は無いということになっています。

 

ですので、例えば、ご病気だとかあるいはお年を召して、遺言したいんだけれども、あるいは遺言してもらいたいんだけれども、もう字なんて書けませんよ、といったような方が遺言を遺すには、ある程度工夫が必要になります。

 

そうした場合に、例えば、今はスマホなんかがありますから、スマホでおじいちゃんが「この財産はお前にやる」とか、「この財産は誰にやる」と言っておられるところを動画で撮影して、これが遺言として有効になるかというと、それは遺言としては全く効力を生じない、ということになります。

 

ですので、法律の規定に従った形で書面として遺さなければいけないということが基本的に必要となってくることになります。

 

そこで考えられる方法としてこの3つがあります。

 

1. 自筆証書遺言

2. 危急時遺言

3. 公正証書遺言

 

1. 自筆証書遺言(民法968条)

民法第968条

 

1.

自筆証書遺言によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

 

2.

前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全文又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書に因らない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

まず、一般的に遺言として一番シンプルな方法として「自筆証書遺言」。自筆という風に書いてありますから自分で書くということなので、基本的には全文(全ての文章)ですね、それから日付・氏名、これを自分で書かなければいけないと、そして押印しないといけないわけですが、今年の法改正で、相続財産の目録部分についてはパソコンのプリントアウトなどでもいいですよ、ということになりました。

 

以前は相続財産の目録部分ですね、「〇〇銀行▢▢支店の普通預金口座、口座番号~~」とか、あるいは、「福岡県〇〇町所在の土地~~平米」とか、そういうのも全部自筆で書かないといけないということだったのですが、法改正によって、もうその部分(目録部分)はプリントアウトでもいいと、他人が作って書いたものでもいい、ということになりましたので、そういった意味では遺言の本体部分を何とか書けるということであれば、シンプルな遺言であればこの自筆証書遺言というのもある程度使えるようになったかなというように思います。

 

2. 危急時遺言(民法976条)

民法第976条

 

1.

疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。

 

2.

口がきけない者が前項の規定により遺言をする場合には、遺言者は、証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述して、同項の口授に代えなければならない。

 

3.

第一項後段の遺言者又は他の証人が耳が聞こえない者である場合には、遺言の趣旨の口授又は申述を受けた者は、同項後段に規定する筆記した内容を通訳人の通訳によりその遺言者又は他の証人に伝えて、同項後段の読み聞かせに代えることができる。

 

4.

前三項の規定によりした遺言は、遺言の日から二十日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。

 

5.

家庭裁判所は、前項の遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができない。

それからもう一つ、「危急時遺言」というのがあります。これは民法の976条に規定があります。

 

これはどういうものかというと、”死亡の危急の迫った者が遺言をしようとする時には、証人3人以上に立ち会ってもらって、その一人に遺言の趣旨を口授する(口で述べる)。その口授を受けた者がその内容を筆記して、この遺言をした人、それから他の証人に読み聞かせて、または閲覧をさせて、各証人が筆記の正確なことを承認した後に、これに署名して印鑑を押せばいい” ということになっています。

 

この場合は、遺言をする人は何も書く必要はない、証人が書いてくれればいい、ということになっています。

 

ですので、こういったやり方も一つ考えられます。ただこれは「死亡の危急に迫った者」が、ということになってますし、それから、この出来上がった書面については、「遺言の日から20日以内に証人、あるいはその他の利害関係人が家庭裁判所にこれを持って行って、確認を得ないといけない」ということになってますので、ちょっと手続きが複雑になります。これが危急時遺言という方法です。

 

3. 公正証書遺言(民法969条)

第969条

 

公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。

 

1.

証人二人以上の立会いがあること。

 

2.

遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。

 

3.

公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。

 

4.

遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。

 

5.

公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

それから最後に、「公正証書遺言」というやり方があります。

この公正証書遺言というのはどういうものかというと、民法の969条に規定のある方法ですけれども、証人2人以上が立ち会って、それから遺言者が遺言の趣旨を口授する、公証人に口授する(口授というのは先に述べたように、口で言うことです)。

 

口述で言われた公証人が、遺言者の口授内容を筆記して、これを遺言者及び証人に読み聞かせまたは閲覧させる。そして遺言者と証人がこれに署名をして印鑑を押す、ということになります。

 

公正証書遺言でも、一応遺言者は原則としては出来た遺言書にサインをしないといけない、署名をしないといけない、ということになっていますが、ただもう遺言者が署名をすることもできない、自分の名前も書けません、という場合には、公証人がその事由を付記して署名に代えることができる、ということになってますので、そういう場合にはサインをすることもいらない、ということになります。

 

ですので、この公正証書遺言という方法が、やはり私はこの3つの中で一番確実で、字を書くのが難しい人が遺言するときには、公証人の予約や確保に少し時間を要する場合がありますけれども、それでもやはり時間が許せばこの公正証書遺言という形で遺しておかれるということがおすすめだと思います。

 

どうしても時間がない時には危急時遺言というやり方もありますけれども、一般的なこの公正証書遺言という形で残しておかれるというのがいろいろなメリットもあって良いと思います。

 

今日の話は以上です。

 

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筆者プロフィール

弁護士 奥田 貫介 

おくだ総合法律事務所 所長 

司法修習50期 福岡県弁護士会所属 

福岡県立修猷館高校卒 

京都大学法学部卒 

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