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遺留分減殺の順序

Q. 2人兄弟の母が、亡くなる半年前に住宅の購入資金として1000万円を長男に贈与していました。その母が亡くなり、「3000万円を知人Aに与える」という遺言を残して亡くなりました。二男の私が「遺留分」を請求するには、長男とAさんとどちらにすればよいのでしょうか?

A. 亡くなった人(被相続人)が「生前贈与」が「遺贈」をしていた場合でも、本来相続人となるべきだった人(法定相続人)は、財産の取得者に対して「遺留分」を主張し、その分の財産を取り戻すことができます。

 

そして、今回のように「生前贈与」や「遺贈」された財産が複数あるときは、新しいものから取り戻すことになっています。今回のケースでは、長男に対する生前贈与(半年前の贈与)とAさんに対する遺贈(死亡時の贈与)とでは、後者のほうが新しいことになりますので、まずはAさんとの間で協議していくことになります。

 

「遺留分」を実際に取り戻す際には、財産の取得者(相手方)との話合いが必要となってきます。感情のもつれなく公平に話合いを進めるには、弁護士など第三者が加わる方がよい場合があります。「遺留分」を取り戻そうとお考えの場合、相続の専門家である弁護士にご相談ください。

 

1 「遺留分」算定の基礎となる財産

 

「遺留分」とは、亡くなった人(被相続人)の意思によっても奪うことができない相続財産の取り分をいいます。

「遺留分」を算定する基礎となる財産は、下記計算式のとおり、「被相続人が亡くなった時に有していた財産」に「贈与した財産」を加え、借金などの「債務」を控除して算定します。

 

遺留分算定の基礎となる財産

=「被相続人が亡くなった時に有していた財産」+「贈与した財産」-「債務」

 

2 「遺留分」を取り戻す順序

 

(1)「遺留分」を取り戻す順序

 

「遺留分」を取り戻す対象となる「贈与した財産」が複数あるときは、財産の取得者(相手方)への影響を小さくするため、新しいものから取り戻すことになっています。

遺言によって遺言者の財産の一部を贈与する「遺贈」があれば、まず「遺贈」から取り戻します。

自分の死後に財産を贈与する契約(死因贈与)は、贈与の中で最初に対象となります。

 

(2)計算例

 

相続人が兄弟2人で、相続財産が5000万円、長男への生前贈与1000万円、Aさんへの遺贈3000万円、債務なしの場合で考えてみましょう。

「遺贈」は相続財産の中から行われるので、相続財産の額に「遺贈」の額を加える必要はありません。

 

遺留分算定の基礎となる財産

=「被相続人が亡くなった時に有していた財産」+「贈与した財産」-「債務」

=5000万円+1000万円=6000万円

 

「遺留分額」は、「遺留分算定の基礎となる財産」に遺留分の割合と法定相続分の割合を掛けて算出します。子2人が相続人の場合、遺留分の割合は1/2、法定相続分の割合も1/2です。

 

遺留分額=(5000万円+1000万円)×1/2×1/2=1500万円

 

相続財産から「遺贈」が行われた残りの財産を各兄弟で均等(1/2)に分けたものが、相続人が実際に得る額(純取り分額)となります。

 

二男の純取り分額=(5000万円-3000万円)×1/2=1000万円

 

「遺留分額」から「純取り分額」を控除した額が「遺留分侵害額」となります。

 

二男の遺留分侵害額=1000万円-1500万円=▲500万円

 

したがって、二男は3000万円の遺贈を受けたAさんに対して500万円を請求でき、長男には請求できません。

 

3 「遺留分」の請求

 

「遺留分」を実際に取り戻す際には、贈与などを受けた相手方との話合いが必要となってきます。相手方と感情のもつれなく公平に話合いを進めるには、弁護士など第三者が加わる方がよい場合があります。「遺留分」を取り戻そうとお考えの場合、相続の専門家である当事務所にご相談ください。

最終更新日:2018/09/03

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著者プロフィール

弁護士 田代隼一郎

九州大学法学部卒

大阪大学大学院高等司法研究科修了

平成24年弁護士登録

福岡県弁護士会所属

弁護士 田代 隼一郎 プロフィール詳細

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