遺言が必要な場合(会社オーナー経営者の場合)
会社のオーナー経営者は、万一に備えて、遺言を残しておくべきです。
次のようなケースです。
・家族構成は、父親と長男、次男、長女
・父親は、オーナー経営者として会社を経営。会社の株を100%(発行済み株式100株)所有。他に資産として会社の工場敷地、自宅土地建物、預貯金
・長男は、父親の「後継者」として会社で活躍。
・次男は、東京でサラリーマン
・長女は、他所に嫁いでいる。
このケースで、父親が遺言を残すことなく他界した場合、株も工場敷地、自宅土地建物は長男、次男、長女が各1/3ずつの共有となり(なお、株については各株式を相続人3人で「共有」することになります。詳しくは下の動画をご覧下さい)、預貯金もそれぞれが1/3ずつ取得します。
父親の他界後、すぐに兄妹3人で話し合いがついて、たとえば、長男が株と工場敷地、次男が自宅土地建物、長女が預貯金、という風に分割できれば問題ありません。
しかし、仮に、話し合いがつかない場合、会社経営は待ったなしですから、日々の仕入、人件費の支払などの資金需要から借り入れが必要となることもありますが、金融機関は、保証人や担保がなければ融資してくれませんから、株や土地の帰属が決まらないと、結局、融資も受けられず、最悪の場合、会社が空中分解してしまうことにもなりかねません。
したがって、このケースで、父親としては、「会社の株と工場敷地は長男に相続させる」という遺言を残しておくべきだったのであり、こうしておけば、長男としても、安心して会社を引き継いで、工場敷地を担保に金融機関から融資を受けることが可能となるのです。
【動画】会社の株式の相続
取締役がオーナー社長だけの場合の問題
ちなみに、これは遺言の問題ではありませんが、会社のオーナー社長の死亡問題に関連して、「取締役がオーナー社長だけ」という場合には注意が必要です。
取締役が2名以上いれば、その内1名が死亡したとしても、残る取締役で当面の問題に対応できますが、取締役が社長1名のみで、その社長が死亡した場合には、会社は代表者を欠くこととなり、あらたに代表取締役を選任しようにも、招集権者がいないため株主総会を招集することもできず、会社経営が完全にストップしてしまいます(この場合には、株主から裁判所に「仮取締役」の選任申立をして、この「仮取締役」が株主総会を招集して、あらたな代表取締役を選任することになります)。
上記のケースでいえば、父親のみならず、長男も取締役としておけば、このような事態を回避することができます。
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